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7.27.2008

退院した


左がぎうにう、右がとかた。
ぎうにうはどうやら、Taceと同じハァハァ族。ヘタレの証。

7.26.2008

7/23のこと




 こんな掲示をされてしまったので、こうした。


『マンション管理事務局及び住民の皆様へ』

マンション一階の掲示スペースに、野良猫の親子の事が書かれていたのを拝見させていただきました。
恐らく、餌をやっていた住民といいますのは私のことかと思いまして、不快な思いをさせてしまった事のお詫びと、その後の経過についてのお話をさせていただきたく、このような文書を配布いたしました。

野良猫の親子は以前よりこのマンションに住み着いておりまして、我が家で保護し、里親を探すことを考えていました、ですが野良猫、と言うわけで警戒心が強く、なかなか捕まえる事が困難で、ならば餌をあげて馴らしていこう、という思いから、二週間ほどマンションの駐輪場において餌をあげさせていただきました、餌の残りは片付けたつもりでしたが、残っていまして住民の方々に不快な思いをさせてしまったのならお詫び申し上げます。
ですが、先日、母猫は逃がしてしまいましたが仔猫を二匹とも捕獲することができましたので、もうこのマンションに来ることは無いと思います。猫も生き物ですし、お腹も空くでしょうから、しばしこのマンションに母猫が現れるかもしれませんが、そこはどうか目をつぶってあげていただきたいと思います。母猫は、以前からこのマンションに来ていた様子ですので、恐らくここの住民ではない方が、この界隈で餌をやっていたものと思います。
一階にお住まいの方で庭に糞をされていたり、鉢植えを倒された、などの被害がありましたら、当方で片付け、お詫びをいたしますので、ポストにお手紙を入れていただくか、直接インターホンを鳴らしていただければすぐに対応いたします。

この界隈には野良猫が多くいますので、一匹一匹慎重に保護し、避妊・去勢手術などをし、徐々に数を減らしていこうという活動をしています。
このマンションでの餌やりは、仔猫がつかまりましたのでもう致しません。
ご理解の程よろしくお願いします。
現在確認できているだけで、三毛猫の親子、白黒の大柄のオス猫がこの辺りを縄張りとしています、猫は餌があってもなくても、縄張りは変えない生き物ですので、その猫たちに関しましても、何か問題を起こしているようでしたら当方で相談にのり、お詫びいたします。猫の習性などをご理解いただけると嬉しいです。納得できない点などがありましたら、十分に時間をとってお話し合いさせていただきたいと思います。

この度はご迷惑をおかけしまして申し訳ありませんでした。
○○号室 Y・N




『マンション管理事務局及びマンションにお住まいの皆様へ』

ネコたちにご飯をあげていた者です。○○号室のY・Aと申します。
この度は、住民の皆様に不快な思いをさせてしまったこと、そして管理者の方にはご迷惑をおかけしてしまったこと、深く深くお詫びいたします。
ただ、一点ご理解いただきたいことがございます。わたしと娘Nが、「かわいそうだから」という感情だけの結果として、ネコたちにご飯をあげていたわけではないということです。確固たる目的のためであったということです。その説明を誰にも差し上げずに、このような行動をとってしまったことは、浅はかだったというしかありません。全くもって手前どもの落ち度です。申し訳ありません。
『目的』、というのは、この親子ネコを保護し、去勢・避妊の手術に出すということでした。覚えていらっしゃる方もおられるかと思いますが、昨年の夏もこの「母ネコ」がこのマンションの敷地内で子育てをしていました。今回子育てをしている子ネコたちは、実はこの「母ネコ」の3代目の子どもたちです。これだけでおわかりいただけるかと思いますが、ネコは凄い勢いで増えていきます。ご飯をあげなければ、ゴミ置き場も荒らされます。現に、7/18(金)の夜、この「母ネコ」の2代目の子どもである三毛柄のネコが、ゴミ置き場で食事をしていました。ゴミ袋には大きな穴が開けられ、中が出されていました。わたしはうちからネコのフードを持ってき、その三毛にご飯をあげました。彼女はお腹がいっぱいになるとどこかへ行ってしまいました。ちなみにこの三毛も子どもを生んでおり、このマンションの目の前の建物内で子育てをしているようです。ちらかされたゴミはきちんと片付けさせていただきました。ご飯を食べていれば、ゴミは荒らさないということ。そして、この子たちに避妊・去勢の手術をしないと、果てしなく増えていってしまうということ。どうかこの2点をお心に留めいただきたいと切に願います。そしてもう一つ付け加えるならば、彼らネコというのは、例えご飯をあげなくなったとしても、そのテリトリーをかえることはしないという特性も是非ともお知りおきいただきたい点です。
そして、去勢・避妊に出すためには、彼らを捕まえなければなりません。捕まえるためには、ご飯をあげるという行為を通して、彼らにわれわれを認知してもらわなければならないのです。ネコは、特に外で自分たちだけで生きているネコたちはおしなべて、非常に警戒心が強いです。そう易々とは捕まってはくれないものです。なので、捕獲するためにご飯をあげざるを得ないのです。
7/18(金)の夕方に、この「母ネコ」の子どもたち二人を、地域ネコボランティアさんの元、無事捕獲しました。「母ネコ」を捕まえられなかったのはとても残念なのですが、まだこの辺りにいるとは思いますので、もし見かけた方がいらっしゃいましたら一声かけていただけますと、非常に嬉しいです。
今後われわれとしましては、前述の三毛の子、そして白黒柄の男の子ネコ、そして「母ネコ」の捕獲→避妊・去勢を考えております。つきましては、その子たちに今後また、上記のような理由でご飯をあげなければならないかと予測はされます。ご理解いただきたいのは山々なのですが、ネコがお嫌いな方もいらっしゃると思いますし(わたしもそうでした)その子たちの糞や尿でおうちの周囲を汚されている方もいらっしゃるかと思います。極力皆様にはご迷惑をおかけせぬよう進めて参ります。また、糞や尿に関しましては、ご一報いただければわたくしか娘が片付けにまいりますのでお声をかけていただければ幸いです。

ネコといえども、わたしたちと同じくこの地球に存在しているかけがえのない「いのち」です。わたしたち、ニンゲンとどうすればうまく共存していくことができるのか。頭の中を駆け巡るのはそのことばかりです。地域ネコ活動をされているある方が、ネコ問題は引いては環境問題だとおっしゃっていました。全くその通りだと、われわれは考えております。しばらく前には、ネコの餌やりが原因でアパートの住人と大家さんの間で殺人事件もおきていました。非常に胸が痛みます。そういうことも含めて、もしご必要でありましたら、きちんと皆様の面前でお話をさせていただきたいと考えています。

しかしながら、この度は、これらの説明を全て端折って我見のみで行動したことに対しては、果てしなく無責任だったと感じ、深く反省しております。
申し訳ありませんでした。



2008年7月23日
Y・A

7.24.2008

そして、ネコ再び③



 順を追って全て丁寧にここに残していこうと考えていたのだけど、この2週間であまりにもいろんなことがありすぎて、それら全てを書き留めるのが、恥ずかしながら面倒になってしまった。結論のみ言うと、7/18(金)の夕方、ボランティアのHさんのお力添えで、ハハの子二人、無事捕まえた。残念ながらハハは捕まえられなかった。二人の子は現在、検査を伴う入院中。二人とも元気だそうだ。
 名前しりとりをシリーズ化していきたくて、一人の子をToccata、もう一人をTenutoと名づけてみたものの、Toccataはわたくし個人的に呼び辛く、いつも略して「とかた」と呼んでおりそれが定着。Tenutoに至っては、普段ビビリでわたしたちの半径1.5m以内には近づけないくせに、一度ネコ用ミルクを差し出したらビビリつつも食い気には勝てず、1.5mの結界を飛び越えてわたしたちに近づいてきた…という経緯が元手となり、「ぎうにう(ぎゅうにゅう)」と今では呼ばれている。ボランティアのHさんまで電話口で「ぎゅうにゅうちゃんはね…」と様子を伝えてくれていたらしい。
 ハハは。その後2日間、はわたしたちが活動している時間帯に近所に姿を現してくれ、ご飯をあげることができていたのだが、残念ながらそれからは彼女の姿をわたしとNは目撃していない。NSさんからの情報によると、早朝4時くらいにこのマンションの程近い餌場には姿を現しているようだ。それを聞いてNと共に胸をなでおろす。ハハは。二人の子を一気に手元から不本意になくしてしまって、どんな気持ちになったのだろう。悲しかったのか。苦しかったのか。わたしたちを恨んだか。それら全てだったか。いずれにせよ、その気持ちを想像すると、胸が苦しくなり涙がこぼれてくる。子どもらは家ネコとして、絶対幸せにする。約束する。そしてあなたも。避妊を受けて、妊娠出産がもたらす様々な苦痛やストレスから解放されようよ。そしてもし、居心地を気に入ってくれるなら、うちにきてもらってもいいから。だからお願い。もう一度わたしたちの目の前に姿を見せて。

 おとといの朝。何やらTaceの様子がおかしい。普段滅多に鳴かない子なのに、あらん限りの声で鳴き喚いている。そして、口を開けてベロを出して、犬さながらでハァハァと荒い息をしているのだ。どうしたんだろう。心配しつつも、会社へ。この日は、NもバイトWも部活で日中うちに誰もいない。それをわかりつつうちを後にして、職場でネコの病気をあれこれ調べたり、ネコと同居しているKさんにTaceの様子を聞いてもらったりしていたら、雪だるま式に不安がどーんと積もってしまい、居ても立ってもいられなくなり、大慌てで早退してうちに帰ってきた。うちに戻ると、Taceのハァハァは治まっており一安心。しかしながら、心配は拭えないので病院に連れて行った。幸い、Taceは心臓も呼吸器も、聴診で異常は見られず、先生の診断では「興奮による一種の発作のようなもの」というものだった。今後も起こりうるらしいが、頻発しなければ問題ない、と。一番良いのは安静だ、と。安静ね。安静。…できんのか?あいつが?その夜、いーーーーーちばんテンション上げ上げで夜の運動会張り切りまくっていたのは、安静を言い渡されたTaceだった。

 そんなこんなで、うちのネコたちのこともちったァ心配しろ、という目に見えぬ誰かからのお告げだったのだろうか。病院から帰って急いでペットショップに参じ、冷んやりマット4人分と、今までうちの中では食させたことがない缶詰ご飯を買い、ネコたちだけだとMusicaがあまりにも不憫だからとMusicaの缶詰も買い、ここ最近の、逼迫した我が家の家計の中では度し難いほどの散財をしてしまった。

 ネコバカ、万歳。



7.07.2008

さくじつ

 貪欲と野心的についての、シンプルかつ的確な指摘を引用した。訂正しておかなければならないのは、わたしがスピノザを読んでこの一節をみつけたわけではないということ。エーリッヒフロムの『生きるということ』という本を読んでいるなかで出会ったもの。引用されているものを引用したに過ぎない。この『生きるということ』という書物。わたしの蔵書棚にひっそりと隠れていた。そこにいたのは、ずーっと知っていた。が、果たして自分が読了したのかどうかも忘れてしまっていた。久々にその埃まみれの本を開いてみると、やはり読んだ記憶が残っていない。本はとにかくたくさん持っているが、全てを読了しているわけではないので、こういう事態はよくある。目に飛び込んできた「目次」たちが非常に魅力的だったので、すぐに読み始めた。
 原題は『TO HAVE OR TO BE?』。おそらく、こちらのタイトルの方がすんなり体に染み込んでくる。読み進めれば進めるほど、しっくりくる。フロムはドイツ人社会学者。この著書はまるで哲学書を彷彿とさせるタイトルであるし、内容も相当に哲学。キリストもシュバイツァーも仏陀もフロイトもソクラテスもマルクスもエックハルトも、なんだかみんなみんな登場してくる。わくわくする。でもあくまでも、社会学者の書物なので、それらの思想をお披露目してお終いでは決してない。きちんと社会学的アプローチでもって世界を俯瞰し、問題点の改善方法など具体案が盛り込まれている。
 読んでいくなかで、ところどころ、ページの端が三角に折られていることに気付く。よく通販雑誌などを眺めている時に、「欲しいな」と思った商品の掲載されているページを後で見つけやすくするためにやってしまいがちな、あんな方法で。んーー。この本読んだことあるのかな。でも、全く憶えていない。ところが、更に読み込んでいくうちに、「わたし、これ絶対読んだ!ええ、読みましたとも!」と認識しないでいられないことに遭遇する。
 わたしは読書するときに、ページの端を折ったり、あげく気に入った箇所にはラインを引く癖がある。Nからは、そういう読み方を軽蔑されるのだが。仕方ないじゃないか。というか、わたしの本なんだから好きにしていいじゃないか。そういう行為に至るのは、わたしのその「本」への愛情の印なのだから。でもって、見つけてしまった。線を引っ張ってる箇所を。かなり若い頃に読んだのだろう。そしてその後のわたしの人生に、大いに影響しているはずだ。

『出産の苦しみのすべてが女のものであることを考えると、家父長制社会で子供を作ることが女に対する露骨な搾取という問題であることは、ほとんど否定できない』

 上記の部分で、水色の蛍光ペンのラインを見つけた。その線はもう微かにしか見えないほどに色褪せている。

 これを発見した時は、思わず吹き出した。おかしかった。「若かった自分、ウケる」と思った。

 まだ読み終わっていないのだが、現代社会、持っては消費して…のこの社会がいかに病んでいるかを実感してならない。「持つ様式」でしか生きていけないヒトビトが、いかにそれがいわゆるフツーのヒトビトだとしても、もはやわたしの目には「異常者」にしか映らなくなっている。やべぇ。

7.06.2008

うぅ…

もし貪欲な人物が金と所有物のことばかり考え、野心的な人物が名声のことばかり考えたとしても、人は彼らを精神異常とは考えず、ただ不愉快に思うだけである。概して人は彼らを軽蔑する。しかし、実際には、貪欲や野心などは精神異常の形態なのである。ふつうは人はそれらを<病気>とは考えないけれども。

スピノザ『エチカ』より

そして、ネコ再び②

 仕事から帰りマンション敷地内に入ると、10mほど先の駐輪場に座り込んでいるNが見えた。「あー。来てるんだ」。Nに確認することもなく、わたしはハハが来ていることを確信した。急いで近付く。するとわたしに気付いたNが少し興奮気味に「ね、子ネコ、子ネコ、すげーかわいい。一人はわたしの手から直接餌食べてくれた。もひとりはビビリで近付いてくれない、ほらほらほら」とまくし立てた。いつもは冷静なNが大はしゃぎしてしまうのも仕方ない。なぜなら、Nとわたしは、数日間ずっとこの親子を探し求めていたのだから。おまけに、親子揃って現われてくれたのだ。これで、ハハが再び『母』になっているという事実もはっきりしたのだし。
 子ネコは二人。二人、模様がよく似ている。だが、性格はまるで逆。Nが言った通り、一人は非常に活発で好奇心の塊で臆せずどんどん寄ってくるが、もう一人はビビリまくって、いろんなことに興味津津なのだが全てにおいて一歩前に踏み出せないでいる感じが伝わる。かわいい。かわいい。こどもたちの後方にいるハハは、わたしたちに向かってずっと威嚇音を発している。なんて素晴らしい母親っぷり。しばし見とれていた。そして思い立って、部屋からネコご飯を少し持ってきた。予想外に、子ネコたちがよく食べる食べる!こちらの思惑としては、ハハにたくさん食べてもらい滋養にしてもらいと考えていたのだが。
 そこを一人のマンションの住人が通り掛かった。その方はねこたちを見て、ほとんど感激に近い声をあげた。「あらー!あなたたち、元気だったのね!よかった!よかった!」と大いに喜び始めたのだ。よくよくその方から話を聞くと、6月に入ってから、一階にあるその方、Yさんの部屋の庭に、ハハが姿を現すようになっていたらしい。かわいらしいこどもたちを3人引き連れて。…はて。3人。…そう。もう1人いたのだ。ある日を境に、2人しか来なくなり、おまけにYさんのお宅で飼っているねこが、ハハたちを脅かしてしまったらしく、以来全員姿をくらましてしまい、Yさんはひどく心配していたそうだ。再会できて嬉しそうにしているYさんを見ていたら、こちらまで幸せな気持ちになった。
 集合住宅の敷地内で、家なきねこたちにご飯をあげるという行為は、たとえそれが善意であったとしても、様々に問題を引き起こしてしまう可能性をはらんでいる。なので、マンション内にYさんのような方がいるという事実を知ることができたのは、ハハたちにご飯をあげながらわたしたちに慣れてもらう…という、捕獲のための最初の第一歩を歩みだそうとしているわたしたちへの勇気付けとなり、飛び上がりたいほどうれしことになったのだ。