日曜同じマンションのお隣に住むHさんと一緒にお昼をした。彼女とはお隣同士でありながら、特別に仲違いしたわけでもないのに、ここ何年か疎遠になっていた。
約9年前、この新築分譲マンションに越してきた。新駅ができ、新設の小学校ができた、生まれたてほやほやの新しい街だった。Nはその真新しい小学校に入学する年齢だった。わたし自身いろいろあって、一年間完全なひきこもり生活の後 の新天地出発であったので、期待よりも不安のほうが大きかったことは否めない。もちろん、若干7才だったNも同様だったであろう。
親子共々に大きな不安を抱えている中、それを凌ぐ大きな朗報が入った。なんとお隣さんの二人のお子さんAちゃんYくんが、それぞれNとWと同級だとわかったのだ。その時一気に湧いた安堵感は未だに忘れることができない。AちゃんとNは一緒に通学するようになった。
その後、こども同士のそれぞれの交遊関係も変化し、AちゃんとNが段々と接することがなくなっていくにつれ、わたし自身もAちゃんのお母さんHさんと疎遠になっていった。
昨年暮れ、近所のスーパーでHさんとバッタリ会ったときに、普段なら挨拶程度ですれ違うところを、彼女が「聞きたいことがあるからあとで電話していいかな」と尋ねてきた。なにがあったのかな、と思いつつ電話を待った。かかってきた電話で彼女は「犬が飼いたいからいろいろ聞きたい」ということと「久し振りにお茶でもしながらゆっくり話したい」ということをわたしに告げた。
それから二人で都合をつけてお茶をした。そこで、わたしが彼女の口から聞いた話は、彼女の人生の苦労の道のりと、私立の中学に進学したAちゃんの悲しい体験だった。わたしの胸のうちでいろいろな思いが去来した。そして、Hさんの話をもっとたくさん聞きたい、Hさんの味方になりたいと強く思った。年が明けて、その後どうしていたかなという思いもあり、お昼に誘い日曜に至ったのだ。
二人であれこれ話していく中で、このおばさんが二人揃って「まじでーー!」と奇声を発せずにいられないほどの、驚嘆すべき事実が発覚してしまった。
Aちゃんは小さな頃から、少しばかり霊的、と言えばよいのか、特殊な能力があったらしい。電車で隣りですまして座っている人々の感情の「波動」のようなものが伝わってきたり、頭に浮かんだ数字を書いただけで計算のテスト満点をとったり…といった具合で。その話を聞いて我慢できずわたしは、Nの話をした。
2年ほど前からNは、小さな女の子が見えるらしい。その子はうちのリビングで、宙に漂っていたり、むじかの散歩コースの公園の端で佇んでいたり。ニンゲンとは違う存在だという認識ははっきりしているのだが、決して恐ろしい存在ではないらしい。「妖精をみた!」と言って大喜びでうちに駆け込んでくるような人だから、ニンゲン以外の存在が見えてもちっとも不思議ではないな、ぐらいにわたしはずっと思っていた。わたし自身も、ほかの人が聞こえない「音」を聞いた経験をしたこともあったし…
それを興味深げに聞いていたHさん。口許に少し笑みを携えながらわたしに「一つ話してもいい?」と口を開いた。…AちゃんとNがまだ二人で一緒に学校に通っていた頃、かれこれ6年以上も前のことになるが、Aちゃんはわたしのうちの玄関前で、見知らぬ小さな女の子をよく見掛けていたそうだ。それはニンゲンではない存在。その女の子はそこで、Nを待っていたらしい…
それを聞いて二人で「うわーーー!」と叫ばないほうが尋常でないだろう。鳥肌が立った。今書きながら改めて鳥肌がたっている。
Aちゃんは自分のその能力を家族以外には明かしていない。他人に言ったところで、信じてもらえるはずもなく嘘つき呼ばわりされるのが関の山だろう…ぐらいのことは理解していたのだろう。
しかし、その女の子は誰なんだろう。きっとこころが薄汚れたわたしなんかには、見えない存在なんだろう。
うちに帰り、その話を丸ごとNにした。Nはもちろんとても驚いた。そして非常に嬉しそうに「あの子は誰なのかなぁ」とつぶやいていた。
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